脂肪肝について

脂肪肝とは、肝臓に余剰な中性脂肪のことです。昔は、脂肪肝と言えばお酒の飲み過ぎが原因と考えられていましたが、実はお酒をほとんど飲まない人でも脂肪肝になることがあります。この背景には、過食による肥満や運動不足などのライフスタイルが関係していることが多いです。このように生じた脂肪肝を非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と呼びます。

非アルコール性脂肪肝は、メタボリックシンドロームや内臓脂肪の増加により引き起こされることが多く、この状態を放置すると、約5から10年後に約20%の人が肝硬変肝がんに進行する可能性があります。

当院での検査方法について

当院では、肝臓の健康状態を正確に把握するために、最先端の画像検査装置の「フィブロスキャン」を導入しています。この検査は、肝臓の硬さ(線維化の程度)と脂肪の量を測定することで、肝硬変への進行度を迅速に評価することができます。

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フィブロスキャンは、超音波検査装置であり、患者様の体には危害を加えない非侵襲的な検査です。患者様の肌に触れる小型のセンサーから肝臓に向けて超音波を贈ることで、鑑三の固さを測定します。この検査は、患者様にとって負担が少なく、外来で簡単に行えるのが大きな特徴です。

当院では、フィブロスキャンで得られる肝臓の硬さ脂肪量の測定値、そして血液検査の結果から得られるAST値を組み合わせて、肝臓の状態を総合的に評価しています。(FAST score)これらのデータを基に算出されるスコアが一定の基準を超える場合、肝硬変が進行していると判定しています。これにより、患者様の現在の肝臓の状態を正確に把握し、必要な治療や生活習慣の改善指導を行うことができます。

当院での治療法について

当院では、治療として、食事療法運動療法両方を組み合わせたアプローチを推奨しています。脂肪肝を放置すると、肝硬変や肝がんへと進行する可能性があります。しかし、適切な生活習慣の改善により、肝臓に蓄積された脂肪を減少させ、肝機能を改善させることが可能です。

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当院では、一人一人の生活様式に合わせた食事療法の指導を行っています。目標としては、一日当たりの摂取エネルギーを1680kcal(一食あたり約560kcal)に抑えることを推奨しており、栄養バランスの良い食事の摂取を心がけています。

運動療法においては、有酸素運動を中心に、体重を減少させることを目指しています。運動は、肝臓に占める脂肪の割合を減少させ、さまざまな検査値の改善に繋がります特に重要なのは、骨格筋の増強です。研究によると、骨格筋量が少ないサルコペニアを合併した肝硬変や肝がん患者は、そうでない人に比べて生存期間が短いことが明らかになっています。

当院では、患者さん一人ひとりの体力や医学的根拠に基づいたプログラムに沿った運動療法の指導を行っています。運動を始める際は、無理のない範囲で、日常生活に組み込める簡単な運動からスタートし、徐々に強度を上げていくことを推奨しています。有酸素運動と筋力トレーニングをうまく組み合わせることが、肝機能改善に効果的です。

最も大切なことは、楽しみながら運動を続けること。これが、長期的に運動を継続し、骨格筋を鍛えるための鍵となります。週に250分以上の中強度の身体活動を実践することで、体重が減少しなくても肝臓に蓄積された脂肪を効果的に減少させることができます。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別の指導を行い、健康な生活への第一歩をサポートしています。脂肪肝の治療に関心がある方は、ぜひ当院の外来をご利用ください。一緒に、健康な肝臓を取り戻しましょう。

早期発見と早期治療

肝臓は我々の体内で重要な役割を担っており、「沈黙の臓器」とも呼ばれます。その名の通り、肝臓は状態が悪化しても自覚症状がほとんど現れないため、多くの人が重大な病状になるまで気づかないことがあります。特に肝臓がんや慢性肝疾患は、進行すると治療の選択肢が限られてくるため、早期発見が極めて重要です。

従来、慢性肝臓病の診断には肝生検による組織検査が主流でしたが、これには患者さんに大きな負担が伴います。幸いにもフィブロスキャンという画期的な技術が登場しました。フィブロスキャンは、非侵襲的に肝臓の硬さを測定し、肝線維化の程度を評価します。この技術により、痛みや出血のリスクなく、迅速かつ正確に肝臓の健康状態を評価することが可能になりました。

近年、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)など、ライフスタイルに関連する肝臓疾患の増加が注目されています。これらの疾患は、運動不足栄養過多といった現代人の生活習慣と密接に関連しており、早期発見と生活習慣の改善が重要です。

担当医紹介

令和6年4月より日立おおみか病院の顧問に就任し,肝臓病外来を開設することになりました。対象とするご病気は,ウイルス性肝炎,非アルコール性脂肪肝,アルコール性肝障害,胆石などです。担当医は令和4年3月に筑波大学医学医療系教授を定年退官し,令和4年4月よりつくば総合検診センターにおいて,人間ドック受診者の腹部超音波画像の読影,受診者の面談と指導を行なってまいりました。これまでの約30年間に渡り磨いてきた肝疾患診療のスキルを活かして,県北の肝疾患医療のレベルアップに繋げたいと考えております。どうぞ宜しくお願い致します。

正田 純一 先生